interlock-web_zettaikagushounenの日記

少年のように家具を作る

目には見えないけれど

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家具屋の仕事は、お客様の目に触れるところって当然綺麗に仕上げていますよね。


まあ、当然と言えばあまりにも当然なことですが、工場の中での製作途中の物って、
お客様の目に触れる事はほとんどありません。


引出し用のレールが付いている箱を内側、後ろ側からなんて、絶対に見れません。
都市伝説にある「小さいおじさん」とかなら、見ることはできるかもしれませんが、
家具として完成してしまえば、私達でも見ることが出来なくなるものは、
意外と多いものです。


芯組をして、裏表に化粧材を貼りつけた「板」の中
所定の場所に納まった家具と壁の隙間


手のひらや指先で触ることすらできなくなる部分を、製作途中では見ることも、触ることも可能です。


例えば、引出しのレールを取り付ける位置が、左右で違っていたりすると大変です。
せっかく作った家具を解体して、部品の状態にまで戻って、直したりすることになるので、
製作途中の段階で、いかにして正確に作るかがとても重要です。


ところが部品の時によく起こる間違いで、部品の上下が逆になる、前後左右を間違う、
同じような家具を同時に数十点手がけていたりすると、特にやらかすミスです。


性質が悪い事に、そのようなミスは、家具として完成に近いところまで作業が進まないと、発覚しないんですね。
更に、数人で作業を分担していたりすると、さらにそのリスクは大きくなります。


組み上がってくると、触ったり手直しをしたりすることが出来にくくなる作業を、いかにしてミスなく綺麗に仕上げるか、
お客様の目に触れないところを、いかに当たり前のように綺麗に仕上げるか、
お客様が見ていないからこそ、作り手として「誠」を尽くすか。
自分だけでなく、工場の職人さん一人一人と同じ意識を共有できるか。


見えないところに、目を向けて日々精進・・・
言うは易し、行うは難し。


何かを作り出すという事は、本当に難しいなあ、と最近改めて考える私でした。






山本