interlock-web_zettaikagushounenの日記

少年のように家具を作る

形の意味


これなんだと思います?
ある事務所の椅子なんですね。


真ん中の口みたいに見えるところが、座面と背中を支える背面の接合部分なんです。
この部分がなんであるのか?
腰の当たりかと思いましたので、椅子に深く腰掛けて見ると、腰には当たらない。
表皮のレザーの縫製の都合かと思いましたが、思っている以上に複雑な縫製でしたので、あえてこうしているようです。


まあ、デザインと言う事なんだろうと納得するのでは、おもしろくない。
なんか意味があるはず!
じーっと見続けること暫し・・・・


「!」
この部分の掃除がし易い。
車のシートが分かり易いので、思い浮かべて下さい。
シートのこの部分って、埃がたまる部分ではないでしょうか。
他の多くの椅子も、この部分の埃がたまるという意味では、厄介なところですよね。


ところがこの写真の椅子は、埃がたまる部分が出てきているので、掃除がとてもし易いではないですか。
「なるほどー」


なんて、一人で感心したり、納得したり。


もちろん、勝手に思っているだけなんで、全然違うかもしれませんが、それでも良いんです。
形ある物には、なんらかの意味があり、なんらかの機能が備わっている。
ましてや人工物の場合、作者の意図するところは必ずあると思うので、その意味を考える。
そうして、整合性のある「意味」を見出すことが重要だと思っています。
その「意味」の蓄積が、いつかどこかで出会うお客様の求める家具の形へとつながって行くと信じて、今日も「この形の意味は?」


です。





山本